健康にいいとされるお酢ですが、スーパーに並んでいる物だけでもかなりの種類がありますよね。
穀物酢・黒酢・果実酢・リンゴ酢などなど。実際何が違うのか分からない方も多いはず。
この記事ではお酢の種類や選び方、健康効果について解説します。
お料理に合わせた選び方や、安全に飲食するための注意点もご紹介するのでぜひ参考にしてみてください。
お酢の健康効果と種類とは?
お酢には疲労回復や便秘改善の効果がある
お酢には酢酸(さくさん)やクエン酸・アミノ酸など、体に嬉しい成分がたくさん含まれています。
たとえば、クエン酸にはエネルギーの生成を助ける効果があるので「疲労回復」に繋がります。また、酢酸には便を体外に排出するための動き「ぜんどう運動」を活発にさせる働きがあるので、便秘改善にも効果があります。
他にも、
・内臓脂肪の燃焼
・血糖値・血圧の上昇を防ぐ
・肌のターンオーバーを整える
などの効果がお酢にはあると言われています。
お酢は「醸造酢」と「合成酢」に分かれる
現在の食酢品質表示基準では、食酢は「醸造酢(じょうぞうす)」と「合成酢」に分けられます。
「醸造酢」は米・麦・果物などを酢酸発酵させて作ったお酢のこと。沖縄などの一部地域を除いて、一般的に販売されているほとんどのお酢は「醸造酢」です。一方で「合成酢」とは化学的に作られた氷酢酸や酢酸を水で薄め、甘味料や香料などを加えたお酢です。
合成酢は今では沖縄などの一部地域を除いてはほとんど見かけませんが、発酵過程を経ていないので風味が落ちます。第二次世界大戦前後の米が手に入りにくい時代に安価で手に入るとして流通した合成酢ですが、今では発酵過程を経て作られたお酢は「醸造酢」。化学的に作られた酢酸を使用した物は「合成酢」と区別して表記することが義務付けられています。
「穀物酢」や「米酢」は醸造酢の1種
醸造酢はなにを発酵させるのかによって様々な種類に分けられます。たとえば「穀物酢」は米・麦・コーンなどの穀物を発酵させて作られたお酢のこと。穀物酢のなかでもお酢1Lに対し40g以上の米を使用したものは「米酢」と呼ばれます。
また、一般的に「黒酢」と呼ばれる米黒酢も醸造酢の一種です。こちらは米酢よりも米(玄米)の使用量が多く、お酢1Lに対し180g以上の米(玄米)を使用した物で、発酵や熟成過程で褐色に変化した物しか「黒酢」と呼ぶことはできません。原材料の米の使用量が米酢の4.5倍にもなるので、一般的に黒酢の方が高価で味わい深いお酢です。
飲みやすいお酢として人気のリンゴ酢などの「果実酢」も醸造酢の一種で、お酢1Lあたり300g以上の果実を使用したものを指します。
「純米酢」は米のみを使用したお酢のこと
「純米酢(じゅんこめず)」とは米のみを使用したお酢を指します。
米を主な原材料とするお酢には「米酢」もありますが、現在の食酢品質表示基準ではお酢1Lに対し40g以上の米を使用した物を「米酢」と呼びます。ただ、実はこれだけのお米でお酢を1L醸造することはできないのです。「米酢」と表記されている物の多くは、主原料はお米ですがアルコール濃度の高い醸造用アルコールを加えて発酵しています。
一方で「純米酢」は米のみを使用しているので、「米酢」よりも香り豊かで深い味わいが特徴です。
この「純米酢」という名称は、食酢品質表示基準では規定がないのですが、原材料がより分かりやすいように一つの原材料だけで作られた醸造酢を「純〇酢」と表記するのが一般的になっています。
他にもりんご果汁や果肉のみを原材料とした「純リンゴ酢」や玄米のみを使った「純玄米酢」。麦のみを使った「純麦酢」などがあります。例えば「リンゴ酢」はリンゴ果汁や果肉に醸造用アルコールを加えて発酵させたお酢を指しますが、「純リンゴ酢」はリンゴの果汁や果肉のみで作られたお酢のことを指します。
「純」と付いているとなんとなく良い物のような印象がありますよね。お酢の場合は主原料だけを発酵させた物を指します。ぜひ原材料のことも頭に入れてお酢を選んでみて下さい。
料理にあわせたお酢の選び方
たくさんの種類があるお酢は、それぞれで風味や香りが異なります。
使用するシーンにあわせて、適切なお酢を使いたいですよね。こちらでは具体的なお酢の選び方をご紹介します。
サラダにかけるなら香りのいい「果実酢」を
ドレッシングとしてサラダに使う場合、香りのいい「果実酢」がおすすめです。
お酢の風味がありながらも、果物の影響で酸味を和らげてくれるのが果実酢の特徴です。定番のリンゴ酢以外にも、柿酢やブルーベリー黒酢などもあります。赤ブドウで作った「ワインビネガー」も果実酢の一種です。
ドレッシングの作り方は簡単で、果実酢にオイルと塩・ブラックペッパーを混ぜるだけ。アレンジ方法もたくさんあり、お好みで粒マスタードやニンニクを加えても美味しいですよ。
和風料理には「米酢」がぴったり
米酢は原料がお米だけということもあり、和食料理との相性がぴったりです。すし酢や和風ドレッシングとして使っても美味しくいただけます。とくにオススメなのが、酢の物やマリネなどのシンプルな料理。米酢と醤油、砂糖をつかって合わせ酢を作り、わかめ・キュウリなどの材料と混ぜるだけでさっぱりとした酢の物が完成します。
注意したいのが、お酢の香りや酸味は加熱すると失われるという点です。お酢の香りや酸味を味わいたい場合は加熱はせずに、逆にお酢の酸味が苦手な方や素材の香りを生かしたい方は加熱するなどお好みや作る料理に合わせて変えてみて下さい。
「黒酢」は肉料理や油料理に
黒酢と言えば普通のお酢にはない色味が特徴ですが、他にも柔らかい酸味や豊かな香りなどの特徴があります。
そんな黒酢は肉料理や油料理との相性抜群。お酢には肉を柔らかくする効果があるので、黒酢と一緒に煮込めばホロホロでコクのある肉料理が完成します。また、中華料理や揚げ物との相性もよく、重たい料理がサッパリといただけるでしょう。
とくにオススメなのが「唐揚げの黒酢あんかけ」。黒酢・醤油・砂糖・中華だし・水を熱し、できあがった唐揚げと和えるだけで完成です。夏の暑さで食欲が落ちているときでも、黒酢の食欲増進効果と爽やかな酸味で美味しくいただけますよ。
コスパのいいお酢を選ぶなら「穀物酢」
頻繁にお酢を使う方の場合、風味や香りと同じくらい気になるのが価格ですよね。より安価に手に入るお酢を選びたい方には「穀物酢」がおすすめです。穀物酢はコーンなどの様々な穀物をブレンドして作られているので「米酢」や「黒酢」よりも安価で手に入ります。
商品によって入っている穀物の割合は変わりますが、共通して「お酢独特の香りが抑えられている」という特徴があります。クセがないので、和風料理や中華料理など幅広く使用できるでしょう。安価で使いやすい穀物酢ですが、やはり米酢や黒酢と比較すると旨味・香りが弱くなります。
「お酢の酸味が苦手だけど、健康のために取り入れたい!」という方にはピッタリかもしれませんね。
「ワインビネガー」はソースとして使える
洋風の肉料理や魚料理のソースとして使う場合は「ワインビネガー」がピッタリです。
ワインビネガーは果実酢の一種で、日本では「ブドウ酢」とも呼ばれています。
ワインビネガーには赤ブドウから作られる「赤ワインビネガー」と、白ブドウから作られる「白ワインビネガー」があります。コクと渋みが特徴の赤ワインビネガーは、煮込み料理やステーキソースなどの加熱調理が適しています。酸味が強くスッキリとした味わいの白ワインビネガーは、ドレッシングやマリネなどの加熱しない料理にピッタリです。
お酢を摂取するときの注意点
健康・美容にいいとされるお酢ですが、大量に摂取すればいいという訳ではありません。
こちらではお酢を取り入れる際の注意点をご紹介します。
空腹時にお酢を飲むのは控える
ドリンクに混ぜると飲みやすいお酢ですが、空腹時は控えましょう。
お酢に含まれる酢酸は血糖値の上昇を抑える効果などがある反面、取り過ぎると胃や腸が荒れてしまいます。とくにお腹になにも入っていない状態は刺激を受けやすいので、空腹時をさけて飲みましょう。
1日の摂取量は大さじ1~2杯がオススメです。ドリンクとして飲む場合は1日1杯を目安に、料理に使う場合は1日1品を目安にするといいですね。
寝る直前の摂取は要注意?
お酢を寝る直前に摂取するのは控えましょう。
歯は酸に弱く、酸性の強い食べ物や飲み物を長期間に渡って摂取し続けていると歯のエナメル質が溶けることがあります。お酢は、PH3程度と身体に入る前は酸性の食品なので注意が必要なのは事実です。
ただ、お酢だけを特別に怖がる必要はありません。
酸性の飲料といえば、コーラなどの炭酸飲料やスポーツドリンク、ワインや柑橘系の果物など。普段口にする方も多いですよね。お酢を含めこういった酸性の食べ物をどうしても寝る直前に摂取したいという方は以下のポイントを心がけましょう。
・長時間かけて飲まない(長時間口に入れたままにしない。)
・ドリンクの場合はストローを使う
・飲食後に水うがいをする
・食べ物の場合はよく噛み、たくさん唾液をだす
「たくさん唾液をだす」というのは、お酢によって酸性に傾いた口内を、唾液が中性に戻してくれるからです。分泌する唾液が少ないと、それだけ長い時間口内が酸性になってしまうので、知覚過敏や虫歯などの歯のトラブルに繋がりやすいと言われています。
ただ、酸性の食品を摂った後の注意点は「すぐに歯磨きをするのは逆にNG。」だということ。酸性の食品を摂ることで、どうしても歯のエナメル質が柔らかくなっています。歯磨き粉を付けてしっかり歯磨きをすることがエナメル質を傷つけるという逆効果になることもあるので、食後すぐは水うがい。食後30分経ってから歯磨きが良いと言われています。
健康のために毎日摂り続けるものだからこそ、しっかりと対策を行っていきたいですね。
使い方によって最適なお酢を選ぼう
今回はお酢の種類や選び方、具体的なご使用方法についてご紹介しました。お酢と言えば「酸っぱくてクセがある」というイメージですが、種類によってフルーティーだったり、まろやかだったりと様々です。
そんなお酢は日本だけでなく世界各地に存在し、その種類はなんと4,000以上。お酢が苦手な方でも、きっとお気に入りのお酢が見つかりますよ。加熱するとお酢の酸味や香りがやわらぐので、苦手な方にもぜひ取り入れて頂きたいのがお酢です。毎日の食事に取り入れ、楽しみながら健康を維持したいですね。