お酢は美容や健康、ダイエットなどに効果が期待できると注目を集める食品です。さまざまな効果がある中でも、お酢の働きで見逃せないのが疲労回復効果です。
お酢を摂取すると、体がエネルギー不足になって疲労を感じるのを防げます。
ここでは、お酢の疲労回復効果や効果的な摂取方法について解説します。
お酢の疲労回復効果
お酢には疲労回復、疲労を感じない体づくりができるすごいパワーがあります。
60種類以上の有機酸で疲れの原因となる乳酸の蓄積を防ぐ
お酢の酸っぱさの理由は、酢酸やクエン酸、アミノ酸など60種類以上の有機酸が含まれているからです。
そして、この多種多様な有機酸は疲労回復にかかせない成分なのです。
私たちの身体は、疲れがたまると疲労物質である乳酸が体内に蓄積されていきます。
乳酸が体内にたまると筋肉疲労や体のだるさを感じてしまいます。
そこで、お酢に含まれる有機酸が体に取りこまれると、代謝が活発化します。代謝が良くなると乳酸が蓄積されるのを予防でき、すでに溜まってしまっている乳酸の分解が促進されるのです。
つまりお酢は乳酸が体に溜るのを防ぎ、疲労を感じにくい体づくりができるというわけです。
糖の供給を助けるグリコーゲンを再補充する
私たちのエネルギー源として活躍しているのは、グリコーゲンといわれる物質です。グリコーゲンは、肝臓や筋肉に備蓄されています。生活の中で疲れを感じるのはこのグリコーゲンが減っていくからです。
そしてグリコーゲンの素になるのが糖分です。不足したグリコーゲンを再補充するために、疲労感を感じたときは糖分をとる必要があります。お酢に含まれる酢酸は、糖分と一緒にとると、グリコーゲン再補充を促すはたらきがあるという実験結果※が出ています。
お酢と糖分を一緒にとれば、グリコーゲンの補充が効率的におこなわれ効果的に疲労回復を実感できます。
出典:※ 「Effect of acetate on glycogen replenishment in liver and skeletal muscles after exhaustive swimming in rats.」(Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports 11:33-37 2001)
唾液や消化液の分泌を活発化させ食欲増進
お酢の香りや酸味は、口の中に入ると唾液の分泌を促進させ食欲を増進させます。なかなか食欲がわかない時は、まず酢の物などのお酢を使った料理を食べましょう。唾液が出て口の中が潤うと、食べ物を飲み込むのも楽になります。
また、お酢は胃の消化液の分泌も活発化させます。
食べる気がおきない時や、胃の疲れを感じている時こそ、お酢は大活躍するんです。
お酢を使った料理を食べ、お酢で作ったドリンクを飲むと食欲がわいてきます。
お酢は夏バテ解消にも効果的なので、食欲がわかないというタイミングにぜひ摂取してください。
継続摂取で身体的疲労感が軽減
お酢を継続的にとると、体が疲労感を感じにくくなります。
飲料メーカーの伊藤園がおこなった実験では、酢酸660mgが含まれる黒酢配合のドリンクを一週間継続して飲んだ場合に、プラセボ飲料を飲んだ人と比べて運動後の体の疲労感が軽減することが確認されています。
日常的に疲労を感じやすいという人は、お酢を飲む生活を続けると疲れがたまりにくい体になります。お酢をたくさん飲む必要はなく、1日大さじ1杯(15ml)程度で十分効果を実感できます。お酢を飲む生活は続けやすく手軽にできるのではじめてみましょう。
参考:黒酢飲料の継続摂取が運動後の疲労感を軽減することを確認ー伊藤園
お酢の効果的な摂取方法
お酢は単体で摂取しても疲労回復効果を実感できますが、あるものと一緒にとるとさらにパワーを発揮できます。
知っておくともっと効率よくお酢の疲労回復効果を感じられます。
ビタミンB1と一緒にとる
お酢と一緒にとってほしい栄養素は、ビタミンB1です。
ビタミンB1は糖質をエネルギーに変えるはたらきがある栄養素です。ビタミンB1が不足してしまうと、エネルギーが効率的に作ることができないため疲れやすい体になってしまいます。お酢とビタミンB1を一緒にとると、お酢だけをとるよりも疲労回復効果が実感できるようになります。
ビタミンB1を豊富に含む食材には、豚肉、レバー、ウナギ、大豆、枝豆などがあります。これらを使ったお料理と、食事中、食後にお酢をとると効率的な疲労回復効果が期待できます。
糖分と一緒にとる
お酢は私たちのエネルギー源として活躍しているグリコーゲンの再補充を行ってくれます。グリコーゲンの素となるのは糖分。糖分とお酢を一緒に摂取すると、お酢に含まれる酢酸の効果で効率的にエネルギー源であるグリコーゲンを作ることができます。
つまり、お酢と糖分をあわせてとることが効率のいい疲労回復を実現させます。たとえば、はちみつとお酢を入れたドリンクはスポーツ選手などもよく飲んでおり、お酢と糖分は疲労回復にピッタリの組み合わせです。
カルシウムと一緒に飲む
カルシウムは骨や歯を丈夫にしたり、高血圧や動脈硬化の予防、精神の安定化など私たちが生きるうえでかかせないミネラルです。しかし、カルシウムは体内に吸収されにくく、牛乳のカルシウム吸収率は50%程度という低さです。
そこでカルシウムと合わせてとりたいのがお酢です。
カルシウムはお酢と一緒にとることで吸収率が高まります。カルシウム入りのエサとカルシウム+お酢入りのエサを与えたマウス実験では、お酢を入れない場合とくらべてカルシウムの吸収率が1.17倍アップしたという試験結果※がでています。このお酢のはたらきを「キレート効果」といいます。
小魚の南蛮漬けやシジミ汁にお酢を入れる、ヨーグルトや牛乳にお酢を入れるといった組み合わせはカルシウムを効率的に摂取できる食べ方です。
出典:※「Enhancing effect of dietary vinegar on the intestinal absorption of calcium in ovariectomized rats.」(Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry 63:905-910 1999)
お酢のとり方・飲み方
お酢は摂取しづらいと思われがちですが、手軽に生活に取り入れ継続しやすい食品です。
1日に飲むお酢の量は大さじ1杯(15ml)が目安です。お酢は基本的に原液では飲まず、調味料として使用したり、水やジュースで割るようにしましょう。原液で飲むと強い酸性によって胃が荒れてしまう危険があります。
お酢は水などで薄めてもその効果は変わらないので、大さじ1杯を目安に毎日のお料理や飲み物に加えて下さい。
オリーブオイルとあわせてドレッシングとして使用したり、中華スープのアクセントにいれたり、野菜の酢の物、南蛮漬けなど、さまざまな料理で大活躍してくれます。料理に使用しなくても、牛乳やジュースに入れると日々の飲料として手軽に取り入れられます。
最近では、水や炭酸水などで割って飲むタイプのお酢が販売されています。お酢とフルーツをあわせたフルーツビネガーは、薄めて飲めばジュース感覚で美味しく飲めますよ。
まとめ
お酢には体に取り入れたものを効率的にエネルギーに変える作用があり、疲れた体を回復させるのにピッタリな食品です。
お酢を継続してとれば、あなたも疲れしらずな体を手に入れることができますよ。
手軽にはじめられるお酢生活をぜひはじめてみてくださいね。